2010年2月アーカイブ

パソコンの操作方法については、何を知りたいかがわかっていれば、ググってほぼ確実に情報は手に入る時代。だから、この手のノウハウ本は、目次に価値の大部分が集約される。そこに1027のタイトルを詰め込まなくちゃと、小さい文字で並べてあるだけだと、目を通す気にはならないだろう。巻末に索引も無いから、先頭からパラパラとめくってみると、字は大きいが画面例は小さくて細部までよく見えない。Windows7パソコンを前に、リアルな画面と首っ引きで利用することが大前提で、この本で事前に新品パソコンの予行演習という目論見には適してないと思います。

Windows7究極技1000―基本操作から応用テクニックまで最速!究極の1000技! (INFOREST MOOK PC・GIGA特別集中講座 364) Windows7究極技1000―基本操作から応用テクニックまで最速!究極の1000技! (INFOREST MOOK PC・GIGA特別集中講座 364)

インフォレスト 2009-11


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 1027と少々1000を超過してることから、水増しなんてなくて、少々割愛してこの数字なのだろうと察せられる。情報量充実お徳用パッケージなのだが、問題は、特に説明してくれなくてもわかりそうな基本操作から、マニアックな利用方法(大多数のユーザには不要ってこと)まで、ごちゃっと一列に並んでいるところ。要するに、読み飛ばせ、っていうところだろうけど、各項目冒頭部分をちょっと読んでみないと、読む必要がある項目かどうか判断できないところに、難が有る。

Home Premium/Professional/Ultimateのそれぞれでの対応状況を、各項目冒頭にアイコンでわかりやすく表示しましたよってことなのだが、全部(1つや2つの見落としがあるかもしれません、あったら御免なさい)の項目に3つのアイコンが貼ってある。XPモードはProfesshonal以上だけのはずが、ここにもやっぱりHome Premiumアイコンがあるぞ???

ページ数にして最初の1/4はフルカラーで、Part5の途中で突然色数が減って画面例の視認性が落ちる。

情報量は多くて嬉しいけど、編集をもうちょっと頑張ってもよかったんじゃないかなと。

この3月号をもって休刊したPC Japanの記事を集成したムック。

XPを5年、Vistaを3年使うための本[完全保存版] (SOFTBANK MOOK) XPを5年、Vistaを3年使うための本[完全保存版] (SOFTBANK MOOK)

ソフトバンククリエイティブ 2009-10-03


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冒頭から「レジストリ設定ガイド」なんて具合だから、完全にマニア向け。そして記事の最初のページから「特集3」とか表示してて、編集放棄。あなたがPC Japanを購読してて、毎号バラして大事な記事だけキングファイルにとっておいたなら、この本はあなたのキングファイルとまったく同じコンテンツ。

余計なことに金使わんというエコな姿勢は間違ってないが、この本のタイトルだけ見て買う人は、おそらくマニアじゃなくて、単に今使ってるパソコンを長く使いたいだけ。

内容はどうかと言えば、すごく充実している。だけど、マニアの数は多くない。一般のお客様には勧められない。信頼性を犠牲にしてでも冒険してでも速くしたい、というような方は、しのごの言う前に最新の速いハードのWindows7機に飛びついているはずだ。

ハードでいえば、CPUのクロックアップをするタイプのお客様向け。ま、失敗してもリカバリすればいいや、という、チャレンジャーな諸兄御用達、サブタイトルどおりの完全保存版だ。

 

企業向けの視点から、新OS、クライアント側のWindows7と、64ビット専用となったサーバー側のWindows Server 2008 R2について解説する。

それぞれの記事はいつもの日経コンピュータのテイスト。第1章でベンダーと先進ユーザ企業の取組みをインタビュー構成で魅力的に紹介している。ぜひわが社も、と思わせる演出は流石だ。続く第二章でWindows7を、第三章ではWindows Server 2008 R2を詳しく解説。とはいえ、他の入門書のような操作解説書ではない。企業にとっての新技術導入の便益を中心に、ユーザー目線というより多数のユーザーを預かる優良企業のシステム部門へのメッセージとして書かれている。そして最後に、クライアントもサーバーも同時に新OSを導入する相乗効果について解説するという、とてもわかりやすい構成。

徹底解説 Windows 7 & Windows Server 2008 R2 ~「働き方」を進化させる新OSのすべて~(日経BPムック) 徹底解説 Windows 7 & Windows Server 2008 R2 ~「働き方」を進化させる新OSのすべて~(日経BPムック)
日経コンピュータ

日経BP社 2009-10-29


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消費者や小規模企業がWindows7に乗り換えるのに、それほど障壁はない。五月雨式に、壊れたコンピュータをリプレースするときに、Windows7機を買えばいいし、全部一気にWindows7にアップグレードなんて金のかかることを考える必要もない。せいぜい、使う人が新しい使い方を覚えるのがホネ、程度の話だ。そもそもWindowsServerなんて手間と金を食うソフトとマシンを社内に置いてるというのは、それなりの規模をもつ企業だろう。小規模企業なら、Workgroupでクライアント機をシェアすることで、企業内ネットワークは完結する。

一方、サーバーを社内で運用する企業の場合、下手に新製品に飛びつくと互換性でつまづくことになる。企業のシステム部門にとって、新技術導入で目立つことより、安定した運用で問題を起さないことのほうが重要だろう。IT革命進行中とはいっても、それは企業内システムではなく、クラウドとか、ネットワークの向こうの世界で起こっている現象で、いわゆるオンプレミスの世界にこだわる限り、冒険して報われる世界とはかけ離れているだろう。

そういう企業ユーザーがこの本を読んで、すぐにわが社も、そう思うかどうかは疑問だ。Windows7や2008R2でなければ出来ない処理があって、乗り遅れると事業のコンピタンスに深刻な悪影響を与える、なんてものがとりあえず見当たらないからだ。やっぱり当分、XPで、いけるとこまでいこか、そういう経営判断がなされても不思議ではない。

御本家マイクロソフトも、クラウドサービスAzureを提供開始し、サーバーソフトを売るビジネスからクラウドとしてサービスを売る業態へ、シフトというほどでもないにしても、理解を示しつつある。日経コンピュータの優れた解説記事によって、はからずも、すでにここがイノベーションの主戦場ではないことがはっきりと示されたようにも見える。

レジストリエディタをがんがん使って、自分好みのWindows7にチューンアップするためのtips集。明らかに中上級者用。レジストリをいじると危険ですから、なんて注意書きは見当たらない。

Windows7ユーザー・ハンドブック カスタマイズ編―快速、快適、安全対策 (User Hand Book 2) Windows7ユーザー・ハンドブック カスタマイズ編―快速、快適、安全対策 (User Hand Book 2)

秀和システム 2010-01


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143のtipsは、こういう場合はどうするかという問いと、その答えとのペアになっていて、問いが明確なら、あとはググればなんとか答えは見つかるから、問いの部分を集約したところに、この手の本の価値がある。へえ、こんなこともできるのか、と。

143のtipsが何らかの体系のようなものをもって整理されているともっとわかりやすいのだが、断片的な情報を寄せ集めた感じになるのは、事前に姉妹書を読んでいることが前提のようになっているため、仕方ないだろう。要するに、基本コースからはみ出した「余り」項目を集めたようなものだから。

画面例はモノクロで、ちょっと視認性に難有るかもしれない。

ここまで手を入れる人がいるのか、という項目も少なくないから、必読の書でも一家に一冊必要なわけでもないが、知っていれば「パソコンに強い」を気取れること間違いなし。マニアックな一冊。

今さらWindows7の入門書ですかと突っ込まれそうだが、技術的内容を噛み砕いてお客様に説明するというのも、ねっと猫の手の大事なミッションのひとつ。

説明のための「体系化」あたりで、ヒントが欲しいなあと感じている。

そこで、「わかりやすさNo.1」とうたわれたこの「今すぐ使える かんたんWindows7」を手にとって見た。

今すぐ使えるかんたん Windows 7 (Imasugu Tsukaeru Kantan Series) 今すぐ使えるかんたん Windows 7 (Imasugu Tsukaeru Kantan Series)

技術評論社 2009-10-20


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日本では発売されないHome Basicを除いて、Home Premium, Starter, Professional, Enterprise, Ultimate 5つのエディション全部を網羅し、各機能説明ページではその機能を使えないエディションはグレーアウトされて表示されいて、わかりやすいのは確か。だが、こういう「わかりやすい」系の本を買う層は、おそらく大部分が初級者で、EnterpriseとかUltimateを包括的に説明するのが親切かというと、ちょっと疑問でもある。

売れ筋にしておそらくガリバー的シェアであろうHome Premiumだけの本にしてもよかったのかもしれない。

機能ごとに構成された97セクション、その各ページは画面例を列挙する、いわゆるオペレーションマニュアルと見て間違いない。字も絵も大きく、広い世代に受け入れられる作りになっている。URLの構成など、入門者に向けたtips的な説明も適切に配置されている。

だが、5頁からなる索引は、とりあえず付けときました、みたいな印象。わからん言葉はググッて下さい、というのがハナから前提になっているのだろう。ググリにくいやつだけ集中的に索引に載せるってのも、悪くない作戦だと思う。

さて、最後の章として、なんと、WindowsXPモードの説明が置かれる。WindowsXPモードとWindows7のデータのやりとり、なんて説明までしてくれてて、ある意味とっても貴重な情報源になっているのだ。正直、私には有難かった。

「かんたん」を求める層には敷居が高いところだろうけど、こういう所もないと、読んだ後に「歯ごたえがない」というようなフラストレーションに繋がるだろうから、売れる本を作るというのも難しい。

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