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Windows7のネットワークを解説する場合、Windows7の機能だけを説明すればいいというわけではない。なにしろ、家庭内だろうと会社内だろうと、WindowsXPのほうがいまだ多数派だったりするのだ。Windows7のホームグループを使えば事足りるというのは、全部Windows7で固めるという好事家のご家庭だけ。だから、真面目にネットワークの説明をはじめると、本はどんどん厚くなる。

本書では、家庭内ネットワークを構築しようとしているユーザも対象にしていると「はじめに」でうたっているが、普通のご家庭にはここまで厚い本は必要無い。小規模企業のネットワーク担当者に、ではこの本がベストかというと、そもそもコンピュータって何、ってなページまで読まされては微妙な気持ちにもなるだろう。初心者向けからセミプロ用まで情報がフラットに混在しているのが、難といえば難だ。

 

だが、それは情報が十分に説明されていることと裏表の関係でもある。他の書籍ではここまで充実させるのは期待できないだろう。5章「WindowsLanを徹底解剖する」の部分だけでも2500円+Taxを払う価値がある。小規模企業でWindows共有がどうもしっくり行かないと感じている担当者には、お勧めだ。

WebサーバーIISやダイナミックDNSを用いたホームページ公開についてもページがさかれているが、これだけでも十分書籍一冊分の情報量のはずで、この本を横に置いとけばすべて解決というわけではない。企業ユーザには中途半端としても、きょうび、自宅サーバーを立ち上げようというマニアックなユーザのとっかかりとしては、いいかもしれない。

本書は『逆引き』で、何をやりたいか、ということから、必要な項目だけ読む形式ではある。が、自分が何を知らないか、知識の網羅性チェックにも役に立つのではないかと思う。本のボリュームに対して価格も手頃な設定ということもあり、一冊買って常備して損は無いだろう。

生き馬の目を抜くIT業界。技術革新が驚異的なスピードで進み、どんなに優れた技術や製品も、その流れに逆らうことはできない。書籍も同様、という本日のお話。

Windows7が登場するタイミングで、XPやVistaから7に移行する手順を解説する書籍が多数出版されたが、出版のタイミングを逃すなとばかり、RC版の画面例や情報を採用した本が大多数であった。そしてWindows7リリースから半年、XPモードでのCPU仮想化機能制約がなくなるなど、些細とは到底言えない変化もあり、そしてインテルCPUのラインアップの一新まであって、半年前の景色がすでにセピア色をおびて見えてくる。

そんななか、RC/betaの象徴でもあった金魚(betta)の図柄を随所に配置した本書の意匠は全く裏目に出ていて、すでにその役割を終えたかのような印象さえ読む人に与えてしまう。

Windows7移行マニュアル (I・O BOOKS) Windows7移行マニュアル (I・O BOOKS)
I O編集部

工学社 2009-11


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しかしその内容は、見かけの派手さに頼らず、中身の充実度で勝負という、その骨太編集方針は好感がもてる。XPモードの説明も詳しい。デュアルブートという実用的でしかし少々煩雑なためそれほど多くは採用されないであろうインストール方法の説明も丁寧であり、2009年10月22日直後の本書出版段階では、間違いなくイチオシ、本書を推薦していただろうことは間違いない。

しかし、今となっては、古さが目立つ。この業界の書籍は鮮度がイノチ。残酷なハナシだが、改訂、というのを考える必要があると思う。

パソコンの引越しは、予算が許すのなら業者に頼んでしまったほうがいい作業だと思う。まず、ルーチンワークだ。時間ばかりかかる。自分ではやりたくない。そうは言っても自分は間違いなく業者の側にいるから、ある種のセールストークと解されてもいたしかたない。

だけど、パソコンのこの手の作業をまずは自分でやってみると決めているお客様は少なくない。そういう高いリテラシーをお持ちの方で、しかし少々不安もあるという場合、こういう懇切丁寧な本が一冊あると、もう、怖いもの無しだろう。画面例の視認性も高く、ガイドブックとしてとてもよく出来ている。

が、手放しでお勧めできないのは、なぜか。

はじめての安全なパソコンのお引っ越し Vista→Windows7 (BASIC MASTER SERIES)

はじめての安全なパソコンのお引っ越し Vista→Windows7 (BASIC MASTER SERIES)

村松 茂

秀和システム 2009-11


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VistaからWindows7というと、同じマシンでのアップグレード、インプレースアップグレードをまずイメージするが、本書ではむしろ、目の前に新機と旧機の2台が並んでいる状況が想定されている。※ 前者は正確にはお引っ越しではない。インプレースアップグレードでは途中でトラブル発生も想定してデータを完全にバックアップして実行という、緊張感伴う作業となりがち。対するに、目の前に2台制的に存在する状況は、限りなく牧歌的。今日はここ、明日はあちら、ステップバイステップでOK。ミスしても、またもう一度正しく繰り返せばいいだけ。趣味とか道楽のひとつとして、じっくり楽しむ、というのも悪くないかもしれない。

さて、ユーザ層の数という意味では、Vista→Windows7よりもXP→Windows7のほうが、圧倒的に和は多いだろう。同じ著者さんがXP→Windows7のほうも書かれている。Amazonで今見たら、やはり売上げ順位はXPからのほうがずっと上位だった。評判のよいWindows7もひと皮剥けば要するにVista Plusみたいなもんだから、まだまださすがにVista機を捨ててというまでの判断をされる方は少数ということだろう。

本当に全部のファイルが移行されたのか、他書であれば、フリーソフトのフォルダ比較ソフトを導入するところだが、本書では画面を並べて目視検査。このほうが初心者には敷居が低くて安心ではあるのだろうけど、はて。

なお、本書では、ありとあらゆるウイルス対策ソフトの紹介が行われ、iTunesやWindowsMediaPlayerで買った音楽の扱いにまで言及する。そうこうして、膨大な時間をかけてきたパソコンのお引っ越しも終りに近づき、本書も大団円を迎える最後の最後になって、「第13章:すべておかませの手軽な引越し方法」が紹介されるのである。

はあ? 

そんな簡単な方法があんなら最初に言ってくれよ!!!!!

って、あなたは怒るかもしれないが、後の祭り。

切れまくってしまったあなたは、巻末おまけの『ハードディスク完全消去』の項に従い、Vista機を中古ショップに叩き売るのであった、というオチになるのかもしれない。

 

「パソコントラブル」系の書籍というのも、ネット上でそれなりに情報を探すことができる今となっては、わざわざお金を出して買うインセンティブは低下している。断片的な情報を寄せ集めただけでなく、本としてプラスアルファの価値が必要だ。ノウハウ系の本なら、例えばその本を使って勉強をする気になる、というのも一つの訴求ポイントだ。

すぐわかる パソコン相談室 Windows7/ Vista 対応 すぐわかる パソコン相談室 Windows7/ Vista 対応
玉生 洋一

アスキー・メディアワークス 2010-01-20


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 この本はフルカラーで画面例が見やすく配慮されている。テーマごとに括ったQ&A形式、というのはオーソドックスで他書と大差無いのだが、「インターネットって何?」という禅問答を思わせる大風呂敷な質問から、PINGコマンドの利用方法まで、読者を理解度を徐々に高めてゆく「流れ」が形作られている。

断片的Q&A形式にして、独習書としても使える構成。飽きさせない誌面の作り、というところがポイントだ。

さらにTwitterまで解説の範囲を広くとり、パソコンそのものというより、ウェブサービスのほうをかなり重点的に解説している。ユーザのほうも、パソコンを使ってるという印象よりは、ブラウザを経由でネットの向こうの世界で活動している、というのが実感されているだろうWeb2.0+の時代だ。今後も、パソコン本体の解説にあてられるページ比率は低下の一途、ということで間違いない。

今、「インターネットって何?」から勉強しようという人は限られている。そういう層に向けて、この字の大きさも画面例の視認性の高さも、わかりやすさに直結していて、なるほど配慮が行き届いた書籍である。

この3月号をもって休刊したPC Japanの記事を集成したムック。

XPを5年、Vistaを3年使うための本[完全保存版] (SOFTBANK MOOK) XPを5年、Vistaを3年使うための本[完全保存版] (SOFTBANK MOOK)

ソフトバンククリエイティブ 2009-10-03


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冒頭から「レジストリ設定ガイド」なんて具合だから、完全にマニア向け。そして記事の最初のページから「特集3」とか表示してて、編集放棄。あなたがPC Japanを購読してて、毎号バラして大事な記事だけキングファイルにとっておいたなら、この本はあなたのキングファイルとまったく同じコンテンツ。

余計なことに金使わんというエコな姿勢は間違ってないが、この本のタイトルだけ見て買う人は、おそらくマニアじゃなくて、単に今使ってるパソコンを長く使いたいだけ。

内容はどうかと言えば、すごく充実している。だけど、マニアの数は多くない。一般のお客様には勧められない。信頼性を犠牲にしてでも冒険してでも速くしたい、というような方は、しのごの言う前に最新の速いハードのWindows7機に飛びついているはずだ。

ハードでいえば、CPUのクロックアップをするタイプのお客様向け。ま、失敗してもリカバリすればいいや、という、チャレンジャーな諸兄御用達、サブタイトルどおりの完全保存版だ。

 

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