あえて古いパソコンを使おうと思う人には、おおまかに、以下の2つのどちらかの事情があると思う。
- パソコンを買いたいけど手元不如意
- パソコンが余りまくっている
通常は(1)のほうであって、(2)のほうはパソコンが趣味あるいはパソコンそのものが商売のネタになっているケースだと考えられる。
ブラウザで調べものしてメール送受信してブログ更新するだけなら、新しいパソコンを買う必然性なんて皆無。だから、買わないという選択肢にはまず確実に経済合理性がある。一番怖いのが突然壊れる、というケースだが、そのために予防保全の策を講じるべきで、新しいパソコンにするというのはその策の一つではあっても、新しいパソコンも壊れる(特に初期故障)事実を踏まえれば、パソコンを新しくするというのはそれほど決定的な策となるわけでもない。
こうした事情から、古いパソコンを使いたおすという命題は、別に吝嗇の話でもまるビの話でもなく、しごく現代的な要求のように聞こえるようになってきたし、WindowsXPに慣れている人口の多さを考えれば、位かに紹介する種類の書籍の価値がさらにタイムリーなものに感じられてくるのだ。
捨てずにとっとけ!売ったら買っとけ!古いパソコンを120%しゃぶりつくす、あの手この手 (わかったブック) 技術評論社 2009-11-05 著者: 唯野 司 Amazonで詳しく見る |
本書はまず、楽しく読める「読み物」としてよくできている。情報だけぶっこんだ「やっつけ仕事」になっていない。古いパソコンを使う経済合理性にかなった様々のテクニックはほぼ網羅された上で、本当に余ってしまったパソコンを使うために、写真表示のインテリアにせよという、ギャグの一種かと疑いたくなるような方策まで紹介されるが、それもご愛嬌と感じられる。
ちょっと長い目で見るのなら、新品のWindows7ノートパソコンが5万円から買える状況では、新品調達がベストの解であって、経済合理性はこの方法で最大化される。ただ、この瞬間を凌ぎたいという近視眼的な事情はあるわけで、その場合に、この1380円+taxはほどよい投資となる。それすら投資しないというのも、あるいは事情によってはさらによい選択かもしれないけど。
古いものは捨てない。その心意気や天晴れでございます。
20万円以上して高かったからもったいない。その気持ちもわかります。
だけど、捨てないで使うのが経済的なのか。業務効率やストレスを考えると、きっと経済的合理性はそこにない。行動経済学的にいう不合理。行動不経済、そう考えるべきかもしれません。
弊方としては、ためらわずにWindows7機に乗り換える好機ですよ、そうご説明させていただきます。