Windows7の操作方法については、ネット上に十分な情報が公開されている。なのに、わざわざお金を払って操作方法に関する本を買ってもらうのだから、その本には、わかりやすい、とか、他ではあまり紹介されていない便利な使い方が書かれている、などの付加価値があって然る。
この付加価値には、よく整理されている、体系だって説明されいるから勉強しやすい、という『並べ方の妙』みたいなのも重要な側面であり、そこには『取捨選択』の巧拙があることに間違いはない。『ノウハウ本』という名で十把一絡げにされる専門書と一線を画し、初学者向けコンピュータ書は、いらないものは潔く切り捨てるという、シンプル化の美学にこそ価値が存在する、という場合がある。
Windows 7 システム&ネットワーク 設定マニュアル ソーテック社 2010-02-22 著者: 井上 孝司 Amazonで詳しく見る |
必要不可欠な情報だけ、モノクロの画面例とともに淡々と説明が進むところは、中級者向け。設定マニュアルとうたっているだけあって、ノウハウのような余計なものが含まれない。余計なサービスは停止しましょうと説明し、操作方法は紹介するが、どのサービスが余計なのかはまったく触れず。ストイックだが、若干の不親切さは感じるところだろう。
プロトコルのバインドオーダー変更という、いささか玄人指向なアイテムでは、「どんなときに変更が必要か?」という問いに「通常、この設定を変更する必要はありません。」との見解が回答の冒頭で示されて、ズッコケる。が、それ以外では、オーソドックスなWindows7の操作マニュアルとなっていて、網羅的ですらある。だから逆に、なぜわざわざ「システム&ネットワーク」と断っているのか、意図がいまひとつ読み取れない。
玄人さんがこういう本を買うかはわかりませんが、玄人さん向け。
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