人生いくつになっても、再チャレンジはできる。本人の気の持ちようひとつだと思う。だけど、パソコンを勉強し直しただけで人生が変わるかといえば、今の日本経済の病みっぷりはそんな簡単な状況ということでもなかろう。
引退して、とりあえずパソコンでも、という余裕の『再チャレンジ』なら、総花的でそれほど簡単に読めるわけでもないこの本を哲学書であるかのように少しづつ読み進める道楽もありえるだろうが、にわか仕込みのオタク育成以上の実利は生まないように思える。
ならばむしろ、例えばWord入門などのように、フォーカスを絞ってハンズオンで勉強するほうが楽しく身につくというものだろう。あるいは、余裕のシニア生活にWordもExcelもへったくれもないというなら、本書でも紹介されている『ピカサ』のように、遊びに特化。そういうエンタメ系に尖らせたほうがずっと人生を豊かにするのではないだろうか。さらに言うなら、本当にシニア層に訴求せんとするなら、ネットスーパーに全然触れないというのもありえないと思うし。
一方、本当にパソコンをビジネスの戦力にしたいというなら、この程度の広く浅い知識では到底足りない。実践あるのみ。本を探すより、ネットで必要な情報を貪欲に探すべし。
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それにしても、本書のタイトルは本当によく考えられている。シニアの方が潜在的に欲しい『商材』を的確に探り当てている。が、読むのはホネとは。マーケティングとコンテンツがミスマッチしているのだ。
バリバリにパソコンを戦力にしている、あなた。そういうあなたに、本書は役に立つ。見落としがちな、パソコン関連動向を漏らさずチェックするには、うってつけだ。『今さら聞けないパソコンの常識』シリーズの本という出自は隠せない。つまらぬ見栄は捨てて、自戒も含め、抜け落ちている知識を速攻補充なう!
就活中だけどパソコン関連に自信のないあなたが、入社面接の前に読む、というのもクールな使い方かもしれない。