ウイルス対策ソフトも紙一重で

緊急連絡:ウイルスバスターをお使いのお客様は緊急パッチの適用をお願い申し上げます。

Nortonは更新期限切れとなると誤動作を起こすことがある。それも、ごくごく稀に、という頻度ではないように思う。パソコンの動作がおかしくなって、他に心当たりが無い場合、Nortonが動いていればとりあえず終了するか、確実に再インストールできる場合は一旦アンインストールしてみるのも手だ。

一方、McAfeeでは、CPUを100%占有してしまう症状に出くわしたことがある。遅くなるという現象では、ウイルスバスターでも、新規ウインドウの表示に異様に時間がかかる事例があった。

そしてこのウイルスバスターで本日、セキュリティホールが発見されたため、更新プログラムを実行せよ、というニュースが報じられた。セキュリティ対策ソフトがセキュリティホールを持ち込んでしまうところが皮肉だ。

こちらで検証用に持ち歩くWindows7 ProfessionalノートパソコンがDellのVostroという企業向けのマシンで、該当する16という版がインストールされている。やはり自動更新では対応できない模様で、早速、その企業のホームページからダウンロードしてパッチを当てた。更新そのものは1~2分か、そして再起動を求められる。パッチ適用前後で、プログラムバージョンも検索エンジンのバージョンもパターンファイルの番号も変わらなかったのは、品質管理の点でいかがなものかなあ、と。

そしてちょっと面倒です。

これだと、やっぱり無料のMSE(Microsoft Security Essentials)でいいや、って人が増えるのではないか。特に契約更新が迫っている人。更新費用を払いたくなくなるでしょう。で、無料のMSEにして、ああ、こんなにパソコンが軽くなるのかと、驚いたり喜んだりで。

それは素敵なビジネスモデル

S社が販売するセキュリティ対策ソフトは更新料無料ということで、販売本数がトップクラスにある。で、量販店に行くと、これが一番売れてます、といかわりに、これが一番いいですと推薦されることがあるようだ。

タスクトレー上では、このソフトは青豆の形で常駐する。仮にここでは青豆と呼ばせてもらう。※ 天吾と運命の糸で結ばれた、あの悲恋の物語を意識したことはいうまでもない。

突然ファイル共有ができなくなったというお客様。その環境を診せていただくと、青豆が鎮座する。量販店で、これが一番です、そう薦められたそうだ。

パーソナルファイアウォールに192.168云々のIPを透過させる例外設定が必要なことはネットで調べればすぐわかるのだが、この情報に一般ユーザが到達するのは容易でない。また、それを電話で説明しようにも、言葉だけでは操作を説明しきれない。

最近はずいぶん改善されてきたとはいえ、この手の問題は他のセキュリティ対策ソフトでも起こる。例えばうちのSy社ソフトは動画をブロックして閲覧不可能にしてしまったので、ちょっとした設定が必要になった。

さて、青豆の操作系はS社が開発、内部のセキュリティ機能そのものはインドのK社が製造しているとのこと。ウィルスのテンプレート整備維持って人件費がすごくかかると思うのだが更新料なしで財源はどこに。無限に新規ライセンスが売れ続けること前提のビジネスモデルか。そこらへん、すごく不思議だった。

答えは、あった。

青豆にも3台のパソコンにインストールできるライセンスをもつパッケージがある。これをWindows7機の新規設定の際に、ついでにとご注文いただいたのだが、Windows7に対応しているかと調べてみてびっくり。最新版をダウンロードして済む話じゃなくて、新しい版にバージョンアップするのに3千円強かかるという。

買うのとあんまり変らない。

このお客様では新機にもともとインストールされていたお試し版Norton3ヵ月版をアクティブにしたので問題とはならなかったが、あまりの商売上手にびっくりした。

初めての飲食店とかで、メニューをみてもよくわからない、そんなとき、売れ筋ってどれですか、それ下さい、なんてやってしまう。お客様が一番嬉しいと思う形で提供されるものが一番売れているのは確かだ。が、それが自分の求めているものとは限らない。

マーケティングの上手さに警戒心を剥きだしにする前に、まずは素直にマーケティングの巧みさを賞賛すべきだ。こういう凄みが自分の商売には決定的に欠けている。